雪解け後に見られるカタクリやエゾエンゴサクの花が咲き終わる5月、徐々に他の植物の花々も見られるようになります。白一色だったニセコの野山が、美しく彩られる季節がやってきます。トレッキングなどでの山へ入ってみないと見られない花は、初夏にニセコにいらっしゃる方の楽しみの一つになるのではないでしょうか。

コウライテンナンショウ

変った形の花なので、見つけやすい花の一つです。やや暗い林や森の中で見ることが多く、低いもので30センチくらい、高いものだと80センチくらいになります。茎先は筒状になっていて、熱帯植物のようでもあります。秋になると色付く果実は、鮮やかな赤色で、実のような粒がとうもろこしのようにつき、とても目立ちます。茎は茶色いまだら模様があることから、マムシに似た草ということでマムシグサと呼ばれています。

Cropped Kourai Tennanshou

ギンリョウソウ

まるで蝋細工のような繊細な姿は、同じく森の中で見られる小さな花で、腐生植物と呼ばれます。聞き慣れないこの言葉ですが、光合成をする代わりに菌類と共生して栄養を得ている不思議な植物です。そのため葉緑体がなく、白く美しい姿をしています。

Ginryo Sou

シラネアオイ

大きな花弁に見えるのは実は萼んだそう。薄紫の色が美しく、優雅で気品があるその姿は多くの人が北海道に来た際に見たいと思わせる花のひとつです。絶滅危急種として指定されており、乾燥と暑さを嫌う種の為、北海道では最も多く自生しています。

Shirane Aoi Flowers

ニセアカシア

元々は北米産の落葉樹ですが、繁殖力が強く、全国各地の公演や街路樹で見られます。葉がアカシアに似てることからニセとつけられたようですが、その花は白い房をたらす形で咲き乱れ、ドライブ途中でも目立ちます。柔らかい黄緑の葉が風で揺れ、木漏れ日が美しく降り注ぐ、見た目もさわやかな木です。また花はミツバチの蜜源として上質なはちみつが得られるため、特にここ北海道では主要なな蜜源植物としても知られています。

Nise Akashia

オオウバユリ

北海道の先住民アイヌの人たちの代表的な保存食として知られ、根っこからでんぷんを取り、食料や薬として重宝されていた植物です。高さは150センチから高いものでは2メートルを超え、その大きく、存在感があるクリーム色の花は、ニセコの森の中でも代表する初夏の花といえます。

Oouba Yuri Lilies

夏が本格的にやってくる7月から8月ごろにはまた違った花や植物がたくさん見られるようになります。季節ごとに山へ入ってみると様々な発見がありますよ。